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タンパク質の正し摂取方法②

前回の記事に続いて、今回もタンパク質の摂取を解説していきます。

1.タンパク質のベストな摂取タイミング

2.良質なタンパク質とは?

 

1.タンパク質のベストな摂取タイミング

 

■最高の摂取タイミングは筋トレ後の「24時間」

 

一般的には筋トレ後の1~2時間は、筋タンパク質の合成作用が最も高まる「ゴールデンタイム」と言われています。

その根拠となったのが、アメリカ•テキサス大学医学部のラスムッセンらによる研究報告です。

ラスムッセンらはトレーニング未経験者を集め、トレーニング直後のタンパク質摂取による筋タンパク質の合成反応を調べました。被験者は1時間トレーニングを行ったあと、必須アミノ酸を15g摂取し、その後1時間おきに筋タンパク質の合成量を計測しました。すると、筋タンパク質の合成量はトレーニング後の1~2時間が最も高くなり、その後はその後は1時間ごとに減っていったのです。

この結果からラスムッセンらは、トレーニング直後にタンパク質を摂ることが、最も筋タンパク質の合成作用を高める摂取方法だと結論づけました。彼がのちに「ゴールデンタイム」の名のもと、筋トレの”常識”として広まっていったのです。

 

しかし、現代のスポーツ科学やスポーツ栄養学では、筋トレと後のタンパク質摂取において、ゴールデンタイムよりも重要なことがあると指摘しています。それは「筋トレ後のタンパク質摂取は『24時間』を意識しろ」というものです。

 

■タンパク質の合成感度は24時間継続する

そのエビデンスとなったのが次の研究報告です。

アメリカ•シュリナーズ病院のティプトンらは、トレーニング未経験者の20代男女を被験者とし、トレーニング前後に必須アミノ酸を15g摂取させ、その前後24時間における筋タンパク質の合成感度の上昇時間を計測しました。すると、筋タンパク質の合成感度は1時間どころか、24時間まで高い状態が続いていたのです。

次に、マクマスター大学のバードらによる研究報告です。こちらは、トレーニング経験のある20代男性を被験者として集め、レッグエクステンションを行われせた後、24時間後にホエイプロテインを15g摂取させ、筋タンパク質の合成率を計測しています。その際、バードらはトレーニング強度と疲労度を基準に、被験者を3つのグループに分けて検証しています。

①.1RMの90%の高強度で疲労困憊まで行うグループ(高強度+疲労困憊)

②.1RMの30%の低強度で疲労困憊まで行わなきグループ(低強度+疲労困憊なし)

③.1RMの30%の低強度で疲労困憊まで行うグループ(低強度+疲労感)

その結果、高強度、低強度ともにトレーニングを疲労困憊まで行った①と③のグループは、24時間後の筋タンパク質の合成率が増加していました。一方、疲労困憊まで行わなかった②のグループは、筋タンパク質の合成率がそれほど増加していませんでした。

この結果から2つのことがわかります。1つは、トレーニング強度に関係なく、疲労困憊になるまでトレーニングを行えば、合成感度の上昇は24時間後まで継続すること。もう1つは、合成感度の上昇が24時間継続することは、トレーニング経験の有無に関係しない、ということです。

こうした研究報告を受けて、2017年には国際スポーツ栄養学会から「トレーニング後の少なくとも24時間は筋タンパク質の合成感度が高まる」との公式見解も発表されており、現在はスポーツ科学やスポーツ栄養学で広くコンセンサスが得られています。

 

□筋トレ直後にプロテインを飲んだだけではダメ

「筋トレ後すぐ」はプロテインを飲むなど、タンパク質摂取に気をつけている人は多いでしょう。

しかし、前述のとおり筋トレ後の24時間は、筋タンパク質が合成されやすくなります。翌朝の朝食、昼食、夕食など、時間が経ってからの食事にも注意を払っているでしょうか。特に、朝食や昼食を食べない偏食が習慣化している場合は、筋トレ後の朝食、昼食でしっかりと最適なタンパク質の摂取量を取るようにしましょう。

筋トレ後の24時間の3食でバランス良くタンパク質を摂取することが、筋トレの効果の最大化に繫がるのです。

 

2.良質なタンパク質とは?

 

■最強のタンパク質は、肉、卵、牛乳、大豆

良質なタンパク質の指標「アミノ酸スコア」

筋トレ効果を高めていくうえで、タンパク質は必要不可欠です。しかし、質の悪いタンパク質を摂っても筋トレの効果は高まりません。必要なのは、筋タンパク質の合成を促させる「良質なタンパク質」です。

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸は、体内では合成できず食事から摂取しなければならない9種類の「必須アミノ酸」と、体内で合成できる11種類の「非必須アミノ酸」に分けられます。

筋タンパク質は必須アミノ酸でしか合成されず、かつ、9種類のどれが欠けてもいけません。筋トレ後に摂取すべき良質なタンパク質とは、「9種類のすべての必須アミノ酸をバランスよく含む」ことが絶対条件になるのです。

とはいえ、必須アミノ酸をバランスよく含むタンパク質はどのように見分ければいいのでしょうか?

そこで登場するのが、食品やプロテインに含まれる必須アミノ酸の含有率を数値化した「アミノ酸スコア」と呼ばれる指標です。これは、国際連合食料農業機関(FAD)や世界保健機構(WHO)でも認められた指標です。

9種類すべての必須アミノ酸量がバランスよく含まれ、それぞれ基準値を満たしている場合、アミノ酸スコアは満点の「100」となり、その食品やプロテインは「良質なタンパク質」とみなされます。100に満たない場合は1つ、もしくは複数の必須アミノ酸が基準値以下であることを示します。

インターネットで「アミノ酸スコア」と検索するとアミノ酸スコアの掲載されたページが沢山ありますので、普段食べている食品のアミノ酸スコアを調べてみると面白いですよ!

代表的な食品とプロテインアミノ酸スコアをみてみると、肉や牛乳といった動物性食品や大豆、プロテインのスコアは100となっていますが、ホウレンソウなど植物性食品や精白米は100に届いていません。

肉や乳製品といった動植物性食品やプロテインが「良質なタンパク質」であると言われるのは、このアミノ酸スコアによるのです。

 

■BCAAよりも9つすべての必須アミノ酸を摂ろう

必須アミノ酸のなかでも、近年特に注目してされているのが「分岐鎖アミノ酸(BCAA/Branched Chain Amino Acids)です。アスリートを中心に、運動に効果的な必須アミノ酸として認知されらようになり、様々なお店で「BCAA配合」と書かれたプロテインサプリメントを目にすることも増えています。また、食品では、肉、卵、大豆、牛乳などに含まらます。

BCAAとは3種類の必須アミノ酸、バリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。アミノ酸はアミノ基、カルボシル基、水素、側鎖で構成されていますが、BCAAは側鎖が枝分かれした特徴的な構造をもつことからこの名がつけられました。

他の必須アミノ酸との最たる違いは、BCAAは肝臓ではなく、主に、筋肉でしか代謝されないことです。この特徴から「必須アミノ酸9種類のうち、BCAAだけが筋肉でしか使われないのなら、これをたくさん摂れば、筋タンパク質の合成を効率的に促進できるのではないか?」と考えられるようになったのです。

しかし、スポーツ科学やスポーツ栄養学における最新のエビデンスな、この考えを否定しています。

2017年、イギリス•エクセター大学のジャックマンらは、筋トレ後の筋タンパク質の合成率について、BCAAを摂取した場合の効果について検証しています。実験ではトレーニング経験のある20代男性を集め、筋トレ後にBCAAを溶いた飲料を飲むグループと、前述の飲料にそっくり似せたプラセボ飲料(中身は無害の粉と水)を飲むグループに分けて行われました。筋トレを行った4時間後、筋タンパク質の合成率を測定すると、プラセボのグループに比べて、BCAAのグループは筋タンパク質の合成率が22%もぞうかしていていました。

次にジャックマンらは必須アミノ酸をすべて含むホエイプロテインを使い、同様の実験を行なっています。その結果、プラセボ飲料のグループに比べ、ホエイを飲んだグループは筋タンパク質の合成が50%も増加したのです。

この結果から「BCAAの摂取だけでも筋タンパク質の合成は高まるが、合成作用をより高めるためには、すべての必須アミノ酸を十分に含んだタンパク質の摂取が推奨される」と述べています。

この知見は2018年の国際スポーツ栄養学会の報告でも支持され、現在はさまざまな分野でコンセンサスを得ています。

筋タンパク質の合成を高めるためには、特定のアミノ酸だけでなく、9つすべての必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質なタンパク質を摂ることが大切なのです。具体的にはBCAAのサプリメントよりもホエイなどのプロテインを優先して摂取すること、BCAAのサプリメント飲むのであれば、一緒にアミノ酸スコアが100である牛などの赤身、鳥の白身肉、たまご、牛乳なども摂取することが筋肉の効果をより高めるでしょう。

 

□ロイシンの知られざる機能

ロイシンBCAAの1つである「ロイシン」は筋タンパク質の合成に強く影響しています。

前の記事で紹介した、筋タンパク質の合成にスイッチを入れる物質、mTORをロイシンは活性化させています。

2014年のマクマスター大学のチャーチワードらは、ホエイプロテインに対するロイシン量の影響について検証しています。少量のホエイプロテインに多量のロイシンを加えると、大量のプロテインと同等の筋タンパク質合成率が高まったことが確認されました。

この結果はロイシンがタンパク質の合成率なら強く影響していることを示しています。

2017年の国際スポーツ栄養学会の公式声明でも、「0.7g~3gのロイシン量」が推奨されています。

 

□食品、プロテインを選ぶ際に確認すること

筋タンパク質の合成を高める良質なタンパク質とは、「アミノ酸スコア100」であり、かつ「ロイシンを2g以上含む」食品やプロテインであることが考えられます。